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  • イベント2021/9/16

    ダウンシュラフの選び方【生地・ダウン】

当社のダウンシュラフはエアプラス・エアドライト・ダウンプラスの3つのモデルで展開しています。
長期にわたってエア・ダウンプラスを販売していますが、「どう違うの?」など違いについてお問い合わせいただくことが
多く、今回のブログでダウンシュラフのシリーズ・モデルついてご説明したいと思います。
シュラフをご検討いただく際のご参考になれば幸いです。

 

・モデルのご紹介
・各モデルの違い
・生地の違いについて
・ダウンの違いについて
・ダウンの性能を表すFill Powerについて
・まとめ

 

 

 

まず3つのモデルの概要がこちらです。

 

 

①エアプラス
(縦走などシュラフを長期で担ぐ方に)

山岳テント泊で求められる、持ち運びのための軽量性とコンパクト性、保温性を追求したフラッグシップモデルです。
最軽量モデルで、長期の縦走など少しでも荷物を軽くしたい方に最適です。天然で未加工のグースダウンを封入しています。
グースダウンは保温性に悪影響を与える湿気を吸放湿しシュラフ内部をドライに保ちます。
撥水性においても最良の選択となります。

 

②エアドライト
(縦走にもおすすめ、バランスを求められる方に)

山岳使用に必要な軽量性、コンパクト性、保温性、価格をバランス良く実現した基本モデルです。
ダックダウンの弱点である濡れを防ぐためにダウンに撥水加工を施しています。
アウトドアを楽しむ方すべてに向けた気軽に使えるエアのベーシックモデルです。

 

 

③ダウンプラス
(山はもちろん、キャンプや車中泊、使用頻度の高い方に)

キャンプや車中泊にも適した丈夫でしなやかな生地を採用し、コストパフォーマンスに優れたモデル。
シュラフの使用頻度が高い方にもおすすめです。多少の重量増よりも価格を優先する方にもおすすめです。

 

 

 

では各モデルで何が違うのか?

シュラフはシリーズごとに大きさやかたち・部分ごとのつくりこみが異なります。極寒で使用するシュラフの保温性を上げるためには首元のネックチューブなどが必要になりますが、逆に暑いときには必要なく、重さが増すだけとなります。

このように対応する温度に応じて、シュラフの構造(大きさやかたち)、仕様(部分ごとのつくりこみ)を調整しています。

下記チャートで横軸の赤囲み内のものが同じシリーズです。まったく同じ構造・仕様で設計されています。

例を挙げると-6℃対応シリーズ エアプラス450・エアドライト480・ポカラXは同じ構造・仕様です。-25℃対応・-15℃対応・-6℃対応・2℃対応でそれぞれのシリーズで異なる構造・仕様となります。

シリーズによりシュラフの大きさやかたち、部分ごとのつくりこみが異なることを前提に、次は縦軸の青囲み内モデルの違いについてご説明していきます。

シュラフの性能・機能を決定するのは、1 構造と仕様2 縫製、3 生地素材、4 ダウンの4つの要素だとされています。
同じ対応温度シリーズを4つの要素でモデルごとに比較したのが下記の表です。

 

1構造と仕様、2縫製についてはまったく同じもので、モデルごとの特徴となる違いは3生地素材、4ダウンです。
今回のブログはモデルごとの違いにフォーカスしていますので、共通の1構造・仕様2縫製について
詳しくは下記より詳細をご覧いただきますようお願いします。

 


同じ温度帯で使用するシリーズにおいて、各モデルの成り立ちを図解したのが下記の図となります。

 

 

生地の違いについて

ここからはそれぞれの特徴となる3生地についてご説明します。

上記の図で各モデルの成り立ちをご確認いただきながら読み進めていただくと分かりやすいかと思います。
 

■15デニール ナイロン
【対応モデル:エアプラス・ドライト】

・強力な超撥水性能/テント内の結露や壁面への接触による濡れを防ぎます。
・軽量性と強度/運搬のための軽量性と、山岳使用で必要な引き裂き強度と耐摩耗性を備え、長期で寝袋の性能を維持します。
・通気性/通気性に優れ、シュラフの保温性に悪影響を及ぼす湿気を適切な状態に保ちます。
・ダウンプルーフ/熱と圧力による加工で通気性を保ち、ダウンの抜けを抑えます。

 

■50デニール マイクロファイバーポリエステル
【対応モデル:ダウンプラス】

・撥水性能/アウトドアで求められる十分な撥水性能をもった生地です。
・強度としなやかさ/デニール数が高くて摩擦に強くじょうぶで耐久性に優れたしなやかな肌ざわりの生地です。
・通気性/通気性に優れ、シュラフの保温性に悪影響を及ぼす湿気を適切な状態に保ちます。
・ダウンプルーフ/熱と圧力による加工で通気性を保ち、ダウンの抜けを抑えます。

 

ダウンの違いについて

ここからはそれぞれの特徴となる4ダウンについてご説明します。

上記の図で各モデルの成り立ちをご確認いただきながら読み進めていただくと分かりやすいかと思います。

 

■800FP ホワイトグース
【対応モデル:エアプラス】

ダウンボールが大きく、かさ高性に優れたホワイトグースダウンです。
小さな小羽枝が多量の動かない空気を取り込み、高い断熱性を発揮します。
ダウンボールは細く、やわらかく、耐久性に優れ、濡れに対しても優れた
撥水性を示します。グースは草食でダウンのにおいも少ない特徴があります。

 

■750FPホワイトダック
【対応モデル:エアドライト】

ホワイトダックダウンに撥水加工を施し、濡れに対する弱点を補っています。
濡れに強く、湿気・濡れによる影響を受けにくく長時間シュラフのロフトを
保ち断熱性を維持します。また濡れた時でも速乾性が高く、未加工のものに
比べて乾燥にかかる時間が短く、洗濯後も機能を維持します。

■720FPホワイトダック
【対応モデル:ダウンプラス】

反発性が高く、圧縮状態からの回復性に優れた高品質のホワイトダックダウン
です。同じ温度対応のシュラフに封入する場合、FPの高いダウンに比べて重量
はやや増えますが、機能と価格のバランスが良く、山をはじめキャンプや車中泊
などに気軽にご使用いただけるモデルに封入しています。

 

 

ダウンの性能を表すFP(Fill Power)

 

フィルパワーは世界標準IDFLで計測しています。フィルパワーはダウンの性能を評価する重要な基準のひとつです。

一定の条件下で1オンス(約30g)のダウンの復元力を数値で表したものです。数値が大きいほど性能が高く、同じ重量で異なるフィルパワーのダウンを比較した場合、数値の大きいものは数値の小さいものよりも多くの空間を満たすことができます。例えば、-6℃対応シリーズでダウンを封入する容積は同じに設計することで同じ温度帯で使用するように設計されていますが、800FPのダウンを封入した場合は450gでその容積を満たすことができ(エアプラス450)、720FPであれば500g必要となります(ポカラX)。


各モデルのダウンでフィルパワー・撥水性の社内実験結果です。

【ダウンの復元力を比較】

同じ重量でFP数値の大きいダウンほどより膨らみます。

 

【ダウンの撥水性比較】

グースダウンは極めて強い撥水性を示します。

 

使用温度シリーズにより構造・仕様が違うこと、また各モデルで生地・ダウンがことなることはご説明しましたが、
それぞれのモデルで生地・ダウンを選択することで、素材の特性が反映された各モデルでは、同じ使用温度域でも、
重量・ダウン量・収納サイズ・価格に違いがあります。こちらはスペックとしてシュラフを検討いただく上で、
大きな特徴となります。同じ-6℃の使用温度シリーズで比較したのが下記表となります。

要点をまとめると以下のようになります。

総重量 : エアプラス < エアドライト < ダウンプラス
ダウン量 : エアプラス < エアドライト < ダウンプラス
収納サイズ: エアプラス = エアドライト < ダウンプラス
価格 : エアプラス > エアドライト > ダウンプラス

 

 

【まとめ】
・対応温度のシリーズにより構造・仕様は異なります。
・同じ対応温度シリーズ間ではエアプラス・エアドライト・ダウンプラスのモデルの違いは、生地とダウンのみです。
・モデルに応じて素材を選択することで、重さ・ダウン量・収納サイズ・価格に違いがあり、各モデルの特徴となります。

 


各シリーズ・各モデルの違いについてご説明しましたが、シュラフは皆さまの山行・キャンプのスタイルに合わせて
選ばれると思います。メーカーの発信するモデル・シリーズの違いとしてご理解いただき、シュラフ選びのご参考に
なればうれしいです。