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  • イベント2022/7/25

    『やっちまった!』 ~テント泊での緊急事態の解決方法~

イスカ社員の製品テストでの山行や、プライベートでの山行時に実際に起こった『やっちまった』(装備の忘れ)と、その時の対策方法を紹介したいと思います。

 

みなさんも楽しみにしていた登山でやっちまった(忘れた)事があると思いますので、

参考にしていただけましたら幸いです。もちろん社会人山岳会や学生の山岳部出身の方は既にご存じかと思いますが、特に初めて日帰り登山やテント泊をされたときは、ルートや天気予報の確認をしすぎて、肝心な装備のチェックをうっかり忘れがちです。それも現地で発覚するので家に取りに帰ったりできない状況となります。これから紹介する事例はそういった装備の忘れを補う一案ですので、参考にしていただければと思います。

 

 

◆マットを忘れた

 

ザックの中身を全て抜き平になるように敷き、シートや座布団などを写真のようにザックとの隙間を開けずに敷きます。ダウンジャケットやフリースなども併用し、なるべく地面のデコボコを平にしつつ、冷気を遮断する。

 

     

  

これは2020年9月下旬に劒沢キャンプ場でテント設営中にテスト用マットが破損し、持参したザック、コンフィライトシートを寝袋の下に敷き代用しました。然しながら初日は劒沢キャンプ場で1泊、2日目は劒岳アタックで1泊、3日目に室堂まで下山という予定でしたが、初日から前途多難の様相でした。2日とも夜は別山からの吹きおろしの風が強く、テントが飛ばされるくらい冷たい風が吹き、(実際にはテントを飛ばされた方もいました)夜はかなり冷え込みました。やはり背中(地面)側が寒かったですが睡眠不足と緊張の連続でしたので、心身ともに疲れていたのか、なんとか睡眠することができ無事下山できました。

 

 

 

◆枕(ピロー)を忘れた

スタッフバッグを着替えやレインウェアなどを詰めて代用

 

関西の明神岳へ行った際にピローを忘れましたが、たまたま着替え用にスタッフバッグを持参しており、それを枕代わりに使用しました。

 

硬さの調整は難しいですが、硬いものがお好みでしたら衣類(着替えやレインウェア)を詰め枕になるように収納します。自分の装備だけでは膨らみそうにないなら同行者に使わない衣類などを貸してもらうのもアリだと思います。この時少し固めの方が朝まで熟睡できます。柔らか目だと頭の重さで翌朝まで圧に耐えきれずへしゃげてしまいます。

 

 

 

◆前日が雨で地面やベンチ、イスなどが濡れており座布団を忘れた

パックカバーを代用

 

 

 

近郊の山へトレーニングに出かけた際に、前日に雨が降り、地面はもちろん登山道などにある備え付きのベンチや丸太椅子が濡れていることがありました。このときは休憩などで座れないことを解消するため、パックカバーを広げ、座布団替わりに使用しました。シリコン系のULパックカバーでも代用できますが、写真のようなハイパロン素材のパックカバーの方が耐久性・防水性も高くおすすめです。

最近ではザックにパックカバーが付属しているものもありますので、このような機会に使用するのもアリではないでしょうか?

 

◆シュラフカバーを忘れた

 アウタージャケットを寝袋に掛けて代用

 

数年前に1月の富士見平小屋でテスト山行した時に敢えてシュラフカバーを持参せず、一人用テント内で寝袋の上に着ていたアウタージャケットを被せ就寝しました。寝相が悪い私は朝にはアウタージャケットが寝袋からかなりずれておりましたが、被した際は寝袋の保温性が上がり、快眠できました。

 

もちろん結露によりテント内でポタポタ水滴が降りますが、基本的には使用していた寝袋が超撥水の生地を使用しているため、寝袋内まで濡れることはなく、ましてや1泊では全然問題無いレベルだと思います。もちろんテントの隅には水滴が溜まっておりますので、保温性及び防水性ではやはりシュラフカバーには劣りますが、就寝時にアウターを畳んでテントの隅に置いている方も一度、お試しください。

 

 

~番外編~

 

◆コンプレッションバッグを使用しない

 

荷物をスタッフバッグなどに小分けして入れるとどうしてもザック内の収まりが悪く、パッキングがむずかしい時などは、敢えて寝袋を収納袋に入れないままザックの下の方に入れ、重みで圧縮する方法があります。厳冬期などでは寝袋が大きく、且つ荷物も多いので、コンプレッションしないとザックに入らないことが多いですが、夏などでは、軽量化を最優先するには敢えて袋類などを少なくする(例えば大きめのインナーバッグに寝袋など全ての荷物を入れる)こともアリではないでしょうか?

 

◆折り畳み傘

 

これは特に雨の時、小屋泊はもちろんテント泊でも有効に使えるギアと思います。小屋やテントからトイレが離れている場合などは特に重宝します。レインウェアですと小屋やテントから出入りするとき、濡れたレインウェアの処理に困ります。特にテントの場合、ボタボタに濡れたレインウェアを前室に置くと地面で汚れたりしますし、テント内にいれるとタオルなどで拭かなければなりません。ましてや、近くにトイレがある場合はいいですが、無い場所ではレインウェアを着たまま用を足すのは至難の業です。少しの雨でしたら走ってトイレまで駆け込めば良いですが、山では天気の急変が多く、いきなり土砂降りになることもありますので、そんな時は折り畳み傘がたいへん重宝します。しかも最近ではコンパクトで超軽量な傘もありますので、お守り的に持参されてはどうでしょうか?

 

 

◆最後に

前もって準備してパッキングしていたにも関わらず、いざ現地に着いてから忘れた事に気が付き、愕然とする方もいらっしゃると思いますが、今回はあくまで忘れた時や壊れた時の代用で、低山や夏山などを対象とした代案となります。

行かれる山にもよりますが、特に厳冬期などではテントや寝袋、マットなどを忘れた場合は、代用ができませんので、その際は直ちに山行を中止して下山するか、もしくは近くに営業小屋がある場合は小屋の方にご相談されることをお勧めします。