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  • イベント2021/10/26

    スリーピングバッグのメンテナンスについて

 

年間を通してキャンプや登山を楽しむ方は少なくとも夏用(スリーシーズン用)の寝袋と冬用寝袋の2本はお持ちではないかと思います。

 

夏用寝袋から冬用寝袋の使用に切り替わるこの時期、シーズンオフの寝袋ってどう保管すればいいの?お手入れ方法は?という疑問を持たれる方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 

今回はスリーピングバッグのメンテナンスについてのお話です。

 

 

 

目次

帰ってきたらまず広げよう!

ダウンシュラフは洗わないほうがいい?

実際に洗ってみよう!

陰干しの際の注意点

クリーニングを依頼する場合

保管方法

最後に

 

 

帰ってきたらまず広げよう!

 

寝袋に限ったことではないですが、どんなアウトドアギアであっても、湿気の多いところで長時間置いておくことは製品の劣化を進め、製品寿命を縮める原因となってしまいます。

 

特に寝袋の場合、たとえ天候に恵まれたテント泊だったとしても、睡眠中の汗や湿気をたっぷりと吸収したまま、収納袋に詰め込まれて自宅まで持ち帰られることになります。

帰宅後は湿気を帯びたシュラフをできるだけ早いうちに収納袋から出し、風通しのよいところで陰干ししましょう。

 

使用直後のメンテナンスをしっかりとしていただくことで、寝袋本来の保温性やロフト(かさ高)を長く保つことができます。

 

 

ダウンシュラフは洗わないほうがいい?

 

一昔前まではダウンシュラフは洗う必要がない、洗わないほうがよい、と教えられた方も多かったのではないでしょうか。確かに、寝袋は使ったその都度、洗濯をしていると生地や保温材が傷み、確実に寿命が短くなります。その意味では頻繁な洗濯はお勧め致しませんが、5年・10年も洗濯をせずにそのまま使い続けることは衛生面のみならず、機能面でも問題があります。

 

一般的に、人間の体からは眠っている間に200mlの不感蒸泄がある、と言われていますが、その湿気はどこへ行くのでしょうか?

 

寝袋には透湿性(湿気が抜けていく性質)が高い生地を採用しているのが一般的ですが、それでも、一部の水蒸気は寝袋内にとどまり、ダウンが湿気を帯びてしまいます。また、せっかく透湿性の高い生地を採用していても、皮脂汚れや細かなゴミや砂・泥などが生地に付いたままでは湿度を上手く逃すことができなくなり、さらに寝袋内の湿度は高まります。

 

このように、汚れを落とさずに手入れをしていないシュラフは徐々に、重くてぺったりとした、ふっくら膨らまない、保温性の落ちたシュラフになってしまいます。

 

極端な例かもしれませんが、たっぷりと汚れや水分が付いた寝袋の洗濯前と洗濯後の製品重量を測ると、洗濯後には60g軽くなり、平置きにした時のボリュームが10㎝近く高くなる例もありました!

 

30泊~50泊に一度、あるいは1年に一度を目安に洗ってあげることが、清潔で、暖かくて軽い寝袋の使用、つまりアウトドアでの快適な眠りに繋がります。

 

実際に洗ってみよう!

 

ここからは実際のご家庭での洗濯方法について紹介します。基本的には、寝袋の洗濯に洗濯機や脱水機の使用はお勧めしません。製品を長くご愛用いただくためにも、手洗い・自然乾燥をお勧めします。

 

 

①バスタブなどにバスタブなどに30℃前後のぬるま湯を張り、中性洗剤をごく薄く溶かしたら寝袋を沈め、押し洗いをします。

 

 

ポイント

●生地やダウン自体の撥水性能が高い寝袋は水や洗剤が十分に浸透するまでに時間がかかります。ゆっくりと空気を押し出すようにして洗いましょう。

●漂白剤の使用は生地の変色や劣化の原因となるので避けてください。

 

 

②全体の押し洗いを終えたら浴槽の栓を抜いて汚れたお湯を流します。寝袋をなるべくきれいに折りたたんだ状態で上から押し、含んだ水を押し出します。再度お湯をためるなど、寝袋から泡が出なくなるまですすぎを繰り返します。

 

ポイント

●軽く押し洗いをして下さい。もみ洗いは保温材や生地を傷める原因になります。

●洗剤が残らないようにしっかりとすすぎましょう。

 

 

③浴槽のなかでねじったりせずに、できるだけ水を抜きます。水をしぼり出してすくい上げた後、しばらく乾いたタオルなどの上に置いて水気を十分に吸い取ります。

 

④直射日光の当たらない風通しの良い場所で陰干しを行います。ハンモックやスノコがあればベストです。

 

陰干しの際の注意点

 

ダウンシュラフを乾かす際には、特別な注意が必要です。ダウンシュラフの場合、濡れた状態で数日間そのまま置いておくと、ゴロゴロとした羽毛の塊が寝袋の中にできてしまいます。

 

こうなると寝袋の内部でダウンのあるところ、ないところが生じ、均一に保温効果を得ることができなくなります。また、ダウンシュラフの特徴でもあるふかふか感も失われてしまいます。

 

洗濯後1日経ったら一度、寝袋を触って内部に塊ができていないか確認しましょう。

塊は完全に乾ききる前にほぐしてあげる方が、後でほぐすよりもずっと楽です。

 

塊がある場合はバサバサ寝袋自体を広げて揺すり、軽くたたいて羽毛を分散してあげます。

このとき、無理にダウンを引き千切ってしまわないように注意しましょう。

今度は寝袋の裏面を表側に向けてまた1日置いたら、再度、同じ作業を繰り返します。

 

表面が乾いたように見えても寝袋が完全に乾くまでには時間がかかります。夏用寝袋で3日程度、冬用寝袋だと1週間はかかると考えましょう。面倒だと思われるかもしれませんが、一日に一回は乾き具合を確認して、ダウンを分散させる作業を行うのがベストです。内部まで完全に乾く前に収納してしまうとカビの原因になりますので、ご注意ください。

 

 

クリーニングを依頼する場合

 

ご自身で寝袋を洗うにはそれなりに手間と時間がかかります。また、浴槽に水を貯めるのが難しい場合や、乾燥させるスペースが十分に確保できない場合はクリーニング店を利用するのも有効かと思います。その際、ダウン製品のクリーニング実績がある店舗かは事前に確認しましょう。

 

クリーニングには大きく分けて水洗いとドライとがあります。ドライクリーニングとは石油系の溶剤を使って洗濯する方法のことです。油に似た性質の溶剤を使いますので、化粧品や整髪料・食用油・皮脂汚れを落とすことは得意ですが、ダウンの天然の脂分を必要以上に落としてしまうと、ダウンがカサカサして保温性や撥水性が落ちてしまうこともあります。

 

逆に水洗いは、水溶性の汚れ(汗・血・尿・泥など)の除去には適していますが、皮脂汚れや食べ物の油汚れ・整髪料などを取り除く効果はあまり望めません。

 

上記のメリット・デメリットを比較検討した上で、当社では中性洗剤を使った水洗いをお勧めしております。

 

 

保管方法

 

洗い終わってしっかりと乾燥させた寝袋。保管の際もできるだけ湿気は避けたいものです。

当社でシーズンオフの寝袋の保管にお勧めしているのが『コットンストリージバッグ』。

通気性能や湿度調整機能があるコットン素材を使用した、大きめの保管用バッグです。こちらにお気に入りの寝袋をゆったりと入れたら、湿気の少ない冷暗所で保管しましょう。夏用寝袋であればSサイズでも収納が可能ですが、夏用・冬用兼用であればLサイズがお勧めです。

 

 

さいごに

 

来年の春のシーズンインに気持ちよく使い始めることができるように、夏用シュラフはこの時期だからこそ、洗って適切に保管してあげましょう。

 

当社ではスリーピングバッグは基本的には一生ものだと考えています。お気に入りのスリーピングバッグを末永くご愛用いただけるように、この記事がメンテナンスのご参考になれば幸いです。